1980年代の南アの自立生活センター
自立生活センター・ソウェトの片隅に、古い資料を見つけました。
Bridge-1985と題されたその本は、1984年12月、今から22年余り前に作られた社会福祉関係の団体一覧で、発行元はHuman Awareness Programmeとなっています。団体情報だけでなく、使えそうな会議場がそれぞれアルファベット順と地域・カテゴリー別に並べられています。
この本では、障害分野だけでなく、子ども、薬物依存者、女性などさまざまなカテゴリーの団体が紹介されています。障害者向けサービスのカテゴリーには、ケープ州4団体、ナタール州4団体、オレンジ自由州2団体、トランスバール州8団体が記載されていました(私のいるハウテン州は、当時はトランスバール州の一部でした)。中でも、ろう者全国協議会と精神保健全国協議会が各地に支部を持っているのが分かりました。
今の自立生活センターの母体となった、Independent Living Centreもトランスバール州の団体として掲載されていました。Loveday Streetという、パークステーション駅(ヨハネスブルグ中央駅)から直ぐ側の通りにある、ハピネス・ハウスという名の建物が住所地になっています。連絡先となっている3名の女性は、いずれも聞いたことのない人たちでした。
今のハピネス・ハウス。学校が入っている。(グーグル・ストリートビュー) |
当時のIndependent Living
Centreの目的は「障害者を支援する機器についての無料の相談サービスを行い、実際に体験使用してもらうこと」でした。
活動プログラムとして、(1)障害者用の駐車許可証の発行(2)月例の消費者協議会の開催(3)サポート・グループ(脊髄損傷者向けとアルツハイマーの人の家族向け)の3つが行われていたと書いてありました。
ソウェトILCのリーダーであるムジ・ンコシも、まだ20代の若かりし頃、毎週のようにサポート・グループに参加していたそうです。車を借りて、毎週ソウェトからたくさん押しかけていて、ソウェトからの参加者が一番多かったとか。当時のサポート・グループは、OTや保健師などがファシリテーターをする、褥瘡予防とか泌尿器管理などの医療ケアについての学習が中心だったとのことです。
今行われているサポート・グループは、障害当事者がファシリテーターをする、自分たちの悩みの共有や自由にものを発言できる空間を提供するもので、これとはいささか趣を異にしますが、それでも、やはり障害者同士が一緒に集まる貴重な場だったようです。
本に戻ると、スタッフはOTが2名、STが1名。資料として、あらゆる障害種別を網羅した海外の出版物、ビデオ、Independent Living
Centreのスライドが用意されていました。出版物はコピーもできるとわざわざ案内されていて、コピー機が普及していなかったころの時代を感じます。機関誌The BulletinもDPSA (Disabled People South Africa:南アフリカ障害者協会) と共同出版していたそうです。また、実際に、事務所・台所・トイレ・寝室を障害者が体験使用することもできたようです。
当時の写真とか、資料とかがないか、探しています。また見つかったらご紹介したいと思います。
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