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レソト政府、障害者権利法作成に向けてソウェト訪問(2017.9.20)

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 南アフリカの隣国で、レソト王国という国があります。  南アフリカにぐるり360度囲まれているのを、地図で見たことがある方もいらっしゃるでしょう。人口220万人ほどの、山岳地の小さな国で、最も低いところでも標高1400メートルあります。冬は雪も降ります。 360度、南アフリカ共和国に囲まれています 小さいですが、山がちなので、移動は時間がかかります  ヨハネスブルグからは飛行機も1日3便ほど出ていますが、車で行くのが圧倒的に安くてポピュラー。5時間弱で首都のマセルとの国境に到着します。ちなみに私は真夏の12月に車で行きました。 観光の見どころは道祖神さんのサイトをご覧ください  国境通過も、地元の人はお買い物気分で、手に一杯荷物を抱えて通っていきます。車で通過する人は、レソト側のイミグレーションはドライブスルー、南ア側は一旦車を降りないといけません。これを知らないで直接ドライブスルーまで行ってしまうと、お前は出国手続きをしないで橋を渡ったから違法だなんだと揉める(賄賂をねだられる)ので、注意が必要です。  のんびりとした、良い田舎です。マスの養殖も盛んで、ゲストハウスでは、マスを食べさせてくれました(写真は最後)。ゲストハウスのおばさんは、「日本にマスを輸出している」と言っていて、「?」でしたが、外務省のサイトを見ると、たしかにそうらしいです。 日本へのレソトからの輸入額3900万円の主要品目は衣類とマス(外務省)   それはさておき…  こんなレソトで、今、障害者権利法と呼ばれる法案の策定が進んでいます。  昨年レソトに行ったときには、レソト障害者連合(LNFOD)の方などにもお会いしたのですが、障害者団体側からは障害者支援のサービスについては障害者団体に丸投げになっていて、きちんと制度化されるめどが経っていないなど、法案を批判する声が強く上がっていました。   LNFODのサイト(英語)  今回、レソト社会開発省の方々が、法案作成のための調査をするために、南アフリカを3日間駆け足で訪問しました。2日目の9月20日、1時間ほどでしたが、ソウェト自立生活センターにもいらっしゃいました。  団長は、障害サービス課長のマシャパネ・マカコレさん。彼女は2016年度のJICA課題別研修「アフリカ地域 

中古リフト付きバンが日本から到着!!

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 待ちに待ったリフト付きバンが、ようやく日本から届きました。  9月27日水曜日の早朝、電話で起こされました。電話の主は、レメロス自立生活センターのピート・デ・ヴィット。朝6時半に予定より1日遅れてリフト車が到着したとの連絡でした。  船で横浜から1ヶ月。ダーバン到着後、通関に2週間ほどかかりました。通関業者の倉庫で、ヨハネスブルグに搬送する順番を待つこと3週間、ようやくヨハネスブルグにやってきたのです。  早速翌日に、リフト車の点検を行いました。特に目立った問題もなく、リフトなどもきちんと動作してくれました。  これからは、運輸局での仮登録、車両認識番号の取得、強制基準局の実地検査を経て、本登録となります。登録が済めば、保険やら盗難対策のGPS設置などをして、ソウェトで実戦投入となります。  今回のリフト車寄贈は、中古車両を寄贈してくださった世田谷ミニキャブ区民の会様、車両集めに奔走してくださった東京ハンディキャブ連絡会様、手続きの間、リフト車を保管・管理してくださった八王子バリアフリーの会様、日本側の輸出手続やリフト操作マニュアルの翻訳をしてくださったヒューマンケア協会様など、多くの方々のご協力により実現しました。この場を借りて感謝申し上げます。 フロントガラスには横浜から積み込むときの指示書きが まだ残っていました 8万キロの走行距離は、南アではまだ古くありません リフトや固定ベルトもきちんと動いてくれました

JICA年次報告書2017に紹介されました

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 国際協力機構(JICA)が毎年発行している「年次報告書」の 2017年度版 がウェブ上で公開されました。  毎年、NGO等との連携についても報告されていますが、そこに事例として1つか2つの事業が紹介されます。聞いたところでは、ちょうどその年に終わった事業とか、継続して新しく再スタートを切った事業とかが紹介されるそうです。  今年は、今、南アフリカで宮本が担当している事業が事例として紹介されました。下のリンクからPDFを開いていただいて、89ページにあります。短い記事ですが、ぜひご覧ください。 市民参加協力(NGO等との連携/地方自治体との連携/大学・研究機関との連携/学校現場や市民に国際協力の理解を広げる)(PDF/862KB) 右下のコラムです

セボケン地区、エヴァートン地区でもサポートグループの準備 (2017.09.15)

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 2016年に、JICA課題別研修「アフリカ地域 障害者の自立とメインストリーミング」に参加して、日本とタイにやってきた、ピート・モフォケンは、自分の住むセボケン地区で自立生活センターを作っていきたいという計画を作って南アに帰国しました。 この日のピート・モフォケンは、 タイで買った帽子をかぶっていました  それから1年余り、少しずつですが準備が進んできています。  もともと、ピート・モフォケンがグループホーム(こちらのグループホームはSelf Help Centreと呼ばれていて、障害者自身が自主管理・運営をしています。行政上はAssisted Living Facilityと呼ばれています)に住んでいたこともあり、主に、グループホームから出発した自立生活センター「レメロス」から技術的な支援を受けています。また、セボケン地区などの障害者に食料を提供するなど、この地域をカバーしているグループホーム「シャングリラ」も、障害者がどこにいるかといった情報やリフト車両を提供するなどの支援をしています。 この日の家庭訪問は、シャングリラによる食料配布と併せて行われました シャングリラのスロープ車に積まれた野菜などの食料  ピート・モフォケン自身は、レメロスが行っているサポートグループやピア・カウンセリング・ワークショップなどに参加して、今後自分がやっていくべき活動を学んでいるところです。  この日は、延び延びになっていた家庭訪問でした。最初のサポートグループに参加してくれそうな候補者の家を3か所選んで、急ぎ足で回ってきました。 一軒目の家庭訪問は、口に絵筆を持って絵を描く頸損の方(中央)。 左は、シャングリラで地域へのアウトリーチを担当するジェームズさん  3か所目の家は、エヴァートン地区にある障害者向け再開発(RDP)住宅が固まっている地域の一角にありました。そこの方は定期的に家の敷地を開放して、障害者の寄り合いを作っています。この日も、大勢の障害者が周囲から集まっていました。 障害者向けRDP住宅。少し大きめに作られているのと、 家の前にスロープが少し伸びているのが特徴 どの障害でも同じデザインの家になっていることや、 障害者向けRDP住宅ばかりを集める街づくりのあり方など批判も多い こ

What's 事例検討? (2017.09.14)

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 このプロジェクトでは、毎月1回2つの自立生活センターからピア・カウンセラーやサポートグループのサブリーダーたちが集まって、広く、障害のある人にもない人にも、自立生活を知ってもらうためのブックレットを作る作業をしています。  ブックレットでは、生活環境や食事など10余りの課題ごとに、今、地域の障害者が何に直面しているか、何が問題なのかを紹介する内容になりそうです。  「なりそうです」というのは、基本的に執筆作業や方針の議論は彼ら自身が行っているからです。私は、ファシリテーターとして、彼らの頭の中にあるものを整理して引き出すのが役割です。  この日は、執筆や編集の前提を固めていくということで、事例検討に取り組みました。 牛が道路を横切っていたので、少し遅れてしまいました  フェーズ1から数えるとすでに4年が経ち、地域の障害者たちの声を高めていく、家から外に出していくという活動はだいぶ進んできたように思います。しかし、出てきた声を、分析・検討するとか、(政策提案であれ、啓発であれ、相談対応であれ)形にしていく、という作業には、まだ改善の余地があります。  彼らの強みは、自分自身の経験も含めて、地域の障害者の実情を知っていることです。しかし、このままでは、冊子を作っても、どこからかコピペしたような、通り一遍のものになるか、事例を紹介しても、何を訴えたいか焦点の定まらないものになりかねません。  そこで、今回から毎月のミーティングでみんなに事例検討の練習をしてもらうことにしました。今、実際に悩んでいる相談ではなくて、ミーティングに参加する人が、自分の経験を相談事例として紹介して、それをみんなで分析します。 この日はソウェトILC代表のナタンが事例発表の担当  事例検討とはそもそもなんぞや、なぜ事例を分析する必要があるのか、相談を理解する上で何を知る必要があるのか、「正解」を押し付けるのではないアドバイスとは何か、「ピア」としての態度を忘れていないか、などなど、知ってほしいことは多く、まだまだこなし切れませんが、とても真剣に取り組んでもらえました。 2グループに別れて分析と検討 どれぐらい突っ込んだ議論ができたでしょうか 今回は、グループで検討中、 事例発表したナタンには席を外してもらいました

在プレトリア・タイ大使館のバリアフリーは? (2017.09.09)

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 土曜の朝、家族でタイ大使館に行きました。今回、大使館職員の許可を頂いて、敷地内の写真を掲載しております。 東南アジア各国の大使館では国旗とASEANの旗が掲げられます これは日本大使館の近くですが、 暑い日でジャカランダの花も開き始めました  プレトリアでも大使館が多く集まる通り沿いの1区画にタイ大使館はあります。その区画、実は3/4は中国大使館が占めていて、地図で見るとタイ大使館はちょっと狭い印象を受けます(実際は結構広いのですが)。 塀の向こうは中国大使館の大きな建物が並びます  領事部に用がある人は外に車を停めて、領事部用の入り口から入ることになっているのですが、それ以外の用がある人は、職員のOKをもらって門の中に車を停めることができます。  大使館は古い建物を使っていて、なかなか趣があります。領事部へは階段で登るしかありません。しかし、門の中に入ると、建物の正面入り口から入れます。メインの建物の前には、車いす使用者用の駐車スペースとスロープがついています。残念ながら領事部の方の建物には3段ほど残っていて、スムーズに入れるのは、今のところ、商務部と駐在武官の事務所のある建物だけです。古い家を使っているので、おそらくエレベーターはないでしょう。 スロープ脇に車いすマークのある駐車場 ちょっと狭いのでいつも適当に広いところに停めています。。 スロープを挟んで、 右側が商務部・駐在武官の事務所(アクセス可) 左が領事部や応接室など(段あり)  先日、大使とお会いしたときには、「こんなのスロープ付けれるでしょ。付けましょうよ」と書記官におっしゃっていたので、任期中にスロープが付けられるのを期待しています。  さて、何で土曜日に大使館に行ったかと言えば、昨年崩御された国王の葬儀のボランティア登録に行ったのです。今回、世界各地のタイの在外公館で儀式を執り行うことになっていて、在外タイ人にボランティアを呼びかけています。  外国人である自分は残念ながら登録できないのですが、スリポーンが登録したいということで、お友達と待ち合わせて行ってきました。登録受付のために領事部のスタッフが休日出勤していました。 ボランティア登録で、身分証明を手に写真を撮る 庭には、タイの大使館らしく、儀式用のお堂

ブラムフィッシャー地区委員会で地元市議会議員にアピール (2017.09.07)

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 南アフリカの市町村レベルの地方議会選挙は、比例代表小選挙区併用制で行われます(一部例外があります)。たとえばヨハネスブルグ市の場合、全部で270議席あるのですが、半分の135議席が小選挙区、残り半分が比例代表の名簿から選ばれます。  しかし、日本と違うのは議席配分は全て比例代表で決まる、という点(日本の「並立制」は比例は比例、小選挙区は小選挙区でそれぞれ議席配分を決めます)。たとえばヨハネスブルグ市の第1党、ANC(アフリカ民族会議)の総議席数は121議席。これは比例代表の総得票率44.5%を按分して決まった数字です。121名の議員構成は、小選挙区を勝ち上がった84名が優先され、残りの37名が政党の拘束名簿の順番に従って決まる、という仕組みです。  小選挙区で選ばれた議員は地区議員(Ward Councillor)と呼ばれていて、市議会の一員というだけでなく、その地区のリーダーとしての役割を担います。この地区議員にアドバイスをして、その活動を支える仕組みとして、地区委員会(Ward Committee)があります。  地区委員会の委員も選挙で選ばれます。住宅、安全対策、地域開発や環境など、10の分野があり、どれか一つを選んで立候補します。 ヨハネスブルグ市 は、「委員に立候補するか、委員選挙に投票することで、市議会の活動に積極的に関わる市民になろう」と呼びかけています。  この日は、ソウェトにあるブラムフィッシャー地区で開かれた地区委員会に、ソウェト自立生活センターのメンバーとともに出席してきました。 委員会はブラムフィッシャー多目的センターで行われた 向かって左側に座る地区議員・地区委員を囲むようにNGO関係者が着席  この地区で家庭訪問をしているピア・カウンセラーのントンバナ・ムンゴメズールーによれば、ブラムフィッシャー地区では、何人か閉鎖された施設から戻ってきた障害者がいるのですが、皆、家の門を閉ざして奥から出てこない状態が続いているそうです。 障害者の現状について自身の体験を交えて説明する マネージャーのムジ・ンコシ(右) 市議会議員(左)にセンターの説明をする 代表のナタン・シャバララ(中央) 地区委員会との間を調整したントンバナ(右)  そこで、ソウェト自立生活センターでは、この地区に

宮本の自宅で自立生活プログラムをやってみた(2017.09.05)

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 なかなか3人(Bさん、ピア・カウンセラー、スリポーン)の予定が合わなくて、延び延びになっていたBさんの自立生活プログラム(ILP)を行うことができました。  ご本人のご希望や、ピア・カウンセラーの意見もあり、クッキングができるところ、かつ、誰も他にいない、話に集中しやすい静かな環境、という場所で行うことになったのですが、そんな場所は残念ながらソウェト自立生活センターにはありません。    また、ピア・カウンセラーからも、Bさんご本人からも、スリポーンに自立生活プログラムに入って手伝ってほしいとの依頼も。  ならば、ということで、我が家を使うことになったのですが、部屋が汚いとか、子どものおもちゃが散乱しているとか、いろいろとクリアをせねばならぬことが多くて、なかなか大変でした。実は、私は送迎担当なので、その辺はあまり大変ではなかったのですが。  当日は、朝、娘を車で保育園に送っていった後、ソウェトまで2人を迎えに行きました。まだ、日本からのリフト車両が届いていないので、この4年間、ここぞ、というときは私が自分の車で送迎していますが、大抵はソウェトの中。この日みたいなことはあまりありません。  2人を拾って、家についたのは2時間後。自立生活プログラムでは、話がやたら色んな人に聞こえてしまう環境は望ましくないので、私は近所のカフェに行って、ノマド的にお仕事です。飲み放題のコーヒーとハンバーガーを頼み、Wifiに繋いで、久しぶりに気持ちよく仕事できました。  終わったとの連絡があり、娘を保育園に迎えに行って家に戻ると、楽しそうな3人と、大量のカップケーキが。ケーキをつまんで、2人をソウェトに送りました。 なぜか、宮本が作るカップケーキよりも美味しかったです 車いすの高さからだと、シンクがちょっと遠いですね  3人ともとても充実した表情で、やってよかった、色々と話ができた、またやりたいと言っていました。よかったですが、また家をキレイにせねばいけないようです。 ILP終了後、Bさんを囲んで (ご本人の許可を得て掲載しています)  送り届けて家に戻ると、夜もとっぷりと暮れていて、残りのカップケーキは近所の子どもたちにほとんど食べられてしまっていました。