事故、もらっちゃいました(南アフリカの交通事故の処理はどうするの?)

 日本と比べて、南アフリカは交通事故の多い国です。

 WHOの交通安全報告によれば、世界全体で24秒に一人の割合で交通事故死が発生しているということです。日本は10万人に対して4.1人が交通事故で亡くなっています。南アフリカは25.9人。乱暴な言い方をすれば、日本より南アフリカの方が、6倍ぐらい交通事故死しやすいということになります。

 交通事故による死者の内訳を見ると、日本は自動車の運転手・同乗者が多くを占めていますが、南アフリカは運転手・同乗者と歩行者が同じぐらいです。南アフリカで運転していて、信号や横断歩道が意味をなしていないのを見ると、さもありなんといったところです。

 つまり、南アに住む日本人は、近距離であっても車を使う人が多いでしょうから、交通事故の被害者となるだけでなく、加害者になるリスクも高い、ということです。ぜひ、加害者にもならないように安全運転しましょう。

WHO交通安全状況報告2018(英語)興味のある方はどうぞ

 「ヒヤリ・ハット」ではありませんが、これだけ死者が出ているとなると、その陰にはけが人を出している事故、もっと後ろには軽い追突・衝突・接触事故がたくさん起きているわけです。ベコベコに凹んだ車や、レスキュー待ちの現場を街中でよく見かけることからもよくわかります。

 かく言う自分も、これまで4度ほどぶつけられています。ですので、自分の車のバンパーもベコベコです。ミニバスタクシーと呼ばれるワゴン車がとにかく運転が荒いので、注意が必要です。注意してもだめなときはだめなんですけどね。。。

 さて、先週(12/20)も事故をいただいてしまいました。「大した事故じゃないじゃん」と言われそうですが、大した事故ならこんな呑気に説明していられないですよね。

基本というか前提
  •  南アフリカも例外ではなく、けが人がいない限り警察はほとんど仕事しません。
  •  保険にはキチンと入っておきましょう。相手がいくら悪くても、相手が保険に入っていることはあまり望めませんし、支払能力があるなんてことも期待してはいけません。誰に責任があっても、自分の身は自分の保険でしか守れません。
  •  保険屋さんには警察が発行する事故報告番号が必要になるので、出来るだけ早く(人身事故の場合は24時間以内、そうでなければ翌営業日まで)に警察に行って、事故の届けを出しましょう。
  •  警察のサイトには、どの警察でも報告していいようなことが書いてありますが、断られることがあります(経験あり)ので、できるだけ事故があったところに近い警察に行きましょう。
  •  相手を激昂させないようにしましょう。
  •  保険や事故届に必要になるので、情報(名前、連絡先、免許証の写真)を双方交換して、早めに道を空けましょう。
南アフリカ警察 車両事故届について(英語)

もらい事故でした

 高速を降りて、片側3車線の大きな通り、一番左を走っていました。夕方の渋滞の直前で、夏休み期間に実質入ったとは言え、交通量はそこそこ多かったと思います。
 
 上り坂の途中に信号があり、赤信号で停まっていました。前にはトヨタ・カムリ。カムリはトランクに商売道具が入り切らず、トランクの扉を開けて紐で留めていました。

 信号が青になり、2台前の車が発進したので、さあ、と思ったら、カムリが動き出さない。

 いや? 逆に距離が縮まってきてるんですが。

 最初、自分の車が止まらないのかと錯覚して、ブレーキを強く踏んで、2度ほど鳴らしたのですが、カムリはどんどん近づいてくるし、周囲の景色は流れていかない。うん、これはカムリが下がってきてるんだね。

 ということで、坂道発進に失敗したと思しきカムリが宮本の前のバンパーにおしりからぶつかって来たわけです。まあ、トレーラーじゃなくてカムリでよかったと思うことにしましょう。一瞬の出来事だったと思うのですが、ああいうときはゆっくりと時間が流れるんですね。

草刈りとかの道具満載です。後ろは絶対に見てなかったと思います。

 カムリからおっさんが出てきて、おっさん開口一番

「おまえ、ぶつけてきただろ!」

 ……はぁ? あんたが坂道発進失敗して下がってきたやん……

 まあ、おっさん、怒鳴る怒鳴る。軽く反論しつつ、写真撮るねと一言断って、事故現場をパシャパシャと撮る。

 おっさんは同乗者(おっさんに雇われている人みたいです。何もしゃべらず、バツが悪そうでした)に命じてパシャパシャ撮らせています。おっさんはスマホの使い方があまりわかってない様子です。

 目撃者も周りにいないし、このまま放っておくと本当にこっちがぶつけたことにされそうなので、あちこち電話して訴えまくることにしました。

日本大使館に電話してみました

 で、最初に大使館の警備担当領事さんに電話。在南アフリカ日本大使館には警察から来ている領事さんがいらっしゃいます。

 全く状況は違うのですが、今日本で話題になっている裁判を思い出して、もしこの激昂したおっさんとその手下が何かしてきたときに、状況をこっちサイドに付いて話してもらえそうな人にまず聞いてもらおうかなという発想でした。そうでなくても、事故があったら報告したほうがいいのですが。

 領事さんは、下記のポイントをおっしゃっていました。
・保険を使うことになるだろうから、警察を呼んで、事故の届け出をしてください
・警察が来るまでの間に、相手の名前、連絡先、免許証の写真を押さえてください

 まあ、そうですよね。。。。

予想通り警察は当てになりません

 日本で言う110番にあたる、10111番に電話してみました。

 1回目は、長々と「次のオペレーターにおつなぎします」メッセージに待たされた挙げ句、切れました(笑)

 2回目も長々と待たされたのですが、ようやく通じました。現場の状況などを簡単に伝えると、はーい、行きますと適当な返事。けが人がないから、来ないでしょう。ここで警察への義理?は果たしました。

 おっさんもどこへやら電話をしている様子。電話が終わるたびにこっちに怒鳴ってきます。怒鳴るのが習性なのが8割と、おとなしいアジア人相手に怒鳴ればこっちが凹んで優位が取れると思っているのが2割でしょうか。残念ながら、そういう手合は山ほど出会ってきているのですよ。相手が悪かったね。

 通りすがりの方が通報してくれたみたいで、警察ではなく、民間のレスキューチームが3台も(レッカー2台、救急1台)やってきました。あらビックリ。

 けが人もなく、こっちの車は動くのでレッカー1台を残してすぐに退散。

 レッカーのお兄さんも、けが人がなければ警察来ないから、相手の連絡先とか免許とかの情報を交換して、警察に行って届けるのがいいねとこちらと同じ意見。

 しかし、どうしてもおっさんが免許証とかを見せたがらない。見せないかわりに、「この国じゃあこんなんじゃ警察来ないんだよ。何警察なんか呼んでんだよ。何時間でも待ってやろうじゃねえか」と吠える吠える。

おっさんはおじいさんだった

 そうこうしているうちに、相手の子どもらしき人が車に乗って登場。おっさん、ますますヒートアップ。

 …したのですが、応援にやってきた人たちはなぜかニヤニヤ。まあ、何やってんのよ、って感じでしょうか。大したダメージもないしね。おっさんは、宮本が後ろからぶつかったので車が動かなくなったと主張していましたが、後ろのバンパー凹んだらエンジンが故障するなんて誰も聞いたことねえよ。

このへこみでエンジン壊れたらトヨタ潰れるわ(笑)

 とにかく早く連絡先を交換したいんだけど、この人交換してくんないんだよね、と言うと、おっさんがまた吠えて、息子?にやらせる。

 相手の免許証の写真を撮って確認すると。。。

 1945年生まれ?? 

 なんとおっさんはおじいさん、御年73歳!

 意固地な高齢者ドライバーに当たってしまったようです。もう、運が無いとしか。

 ということで、エンジンが故障して動かなくなったおじいさんを置いて、近くの警察に向かうことにしました。レッカーの人も息子さん(孫?)がどうにかするだろうということでしょう、彼らを放置して引き上げてしまいました。

警察で事故の届け

警察に行くと、車両事故報告(Report of Vehicle Accident)の書式を渡されます。警察が聞き取って作成するのが本筋なのでしょうが、人身事故でなければホイと書式を渡されて自分で書くことになるようです(自分は過去4回全部そうでした)。

 A3見開き2つ折りで合計4ページですが、家の近所の警察は1ページずつバラバラに、何度もコピーしたものをくれます。コピーも潰れて何書いてあるかよくわからないし、端が切れたりもしているので、よくわからないときはおまわりさんに聞きましょう。「完璧」に書く必要はありませんが、必要なことはキチンと書きましょう。

 おまわりさんに持っていくと、チェックをして(内容ではなくて書式に全部書いたかどうかだけ見ます)、最後のところにサインとはんこを押して終わり。別の担当者のところに持っていくように言われます。そうすると、ノートに概略を転記して、事故報告番号をくれます。

 この番号はたいてい紙の端切れに書かれているのですが、これが一番大切です。この番号を保険屋さんに持っていくと、保険の処理に入れます。

本当にノートをちぎった紙切れです。なくさぬように

車両事故報告の書式

 Auto Body Specialists社さんのサイトに、事故報告の書式がアップロードされていました。4ページ目以外がPDFでダウンロードできます。

Auto Body Specialists (ページ下部のDownloadのアイコンをクリック)

 1ページ目は事故の発生した日時、場所、運転手(自分と相手方)、車両(同)といった基本的な情報について書いていきます。右上の事故発生日時を見落としやすいので忘れずに。通りの名前はグーグル先生を見て書いたこともありますが、違うと言われることもあります。


 2ページ目は事故の状況です。車両A(自分)と車両B(相手)のそれぞれの状況についてチェックを入れていきます。南ア英語ですが、交差点の信号はRobotと言います。この書式でもRobotと書いてあります。

 図と自由記述の欄もあります。保険屋さんに出す書類にも同じような欄がありますので、矛盾がでないように書きましょう。

3ページ目は人身事故の場合はけが人等の状況を書きます。人身事故でなくても、同乗者がいれば、同乗者の情報を上の方に書きます。



 4ページ目はアップロードされていないのですが、目撃者の情報と、最後に署名捺印する欄があります。
 
何よりも

 当然ですが、事故の加害者にもならないよう、安全運転を心がけましょう。
 おっさんのようにならないためにも、車のメンテナンスなどもこまめにしましょう。
 事故に遭っても、落ち着いて対応しましょう。
 あと、保険の詳細も普段からきちんと把握しておきたいものです。

 

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