ソウェトの中等学校訪問 (2018.04.11)

 ハウテン州社会開発局の障害者団体向け補助金の条件として、「障害予防など障害に関する啓発活動」が義務付けられています。

 「目標人数」を予め団体と行政の間で合意しておいて、家庭訪問や学校訪問、地域活動などの参加者名簿を集めて、毎月報告を上げることになっています。目標人数を下回ると、次年度の補助金に影響するので、事務所を訪れたお客さんとかにも、名前を記入してもらったり、どの団体も長大なリストを作るのに必死になります。。。。なにか違うような。。

 南アフリカの行政って、とかくこうした表面的な人数とか数値にこだわるくせが強いです。

 「ノルマ」第一っていうやつですね。

 そして、ダブルカウントがないかとか不正がないかとか、そうしたチェックにやたら労力をかけるし、かけさせる。この数字の集合体が「社会開発局の補助金の波及効果」のように語られる現状には、疑問も多くあります。

 中身は何をやってもいいので、それぞれの団体の得意とすることをバラバラにやっている印象があります。

 さすがに優生思想バリバリなことを言っている団体はないようです。褥瘡予防とか、二次障害に取り組む医療的な講習をする団体もあれば、飲酒運転撲滅やシートベルトを付けようという社会啓発をしている団体もあります。

 ソウェトILCの場合は、ムジが「障害予防っておかしくね?」と常々言っていたので、「障害者の地域生活について話す。自分たちの活動について話す」ということに重点を置いています。それなら日常の家庭訪問も全部そうですしね。

 2ヶ所の自立生活センターについて言えば、人数を集めること自体は他の団体に比べて難しくありません。むしろ、入所施設や作業所のように箱物に閉じた活動をしている団体の方が大変そうです。そりゃそうでしょうね。

 昨日は、ソウェトILCのピア・カウンセラーであるントンバナの家の近所にある、彼女の母校モゴメ中等学校 (Mokgome Secondary School) に2人で行ってきました。ソウェトでも、ミードゥランズと呼ばれる区域です。

 昨日は啓発活動の本番ではなく、事前打ち合わせと言うか、校長あてのお願い状を持って担当の先生と話をしに行きました。でもアポなし。

 日本だとどうなんでしょうかね。学校側から依頼状が来て「話してください」というのはよく聞きますが、こうやって団体側から「話させてください」といきなり申し入れて、「よござんす」となるシーンってそんなに多くないような。

 それだけ、日本と比べて市民活動と学校の距離が近いのだろうと思います。

鉄条網で覆われた学校って、日本だと馴染みないでしょう
受付で先生が出てくるのを待つントンバナ

 アポなしなのに、ちゃんと先生が出てくるところが素晴らしいです。まあ、母校だし、近所だし。

 ちなみに、ントンバナが在籍した当時の先生は1人しか残っていないそうです。
カジュアルな雰囲気の打合せ

打合せはズールー語でやっているので、暇な宮本は校内をウロウロしました。

マトリック(高校卒業資格試験)の成果発表。
この学校は、昨年は90%超えで素晴らしい成績だったようです。
 

壁に
「話そう!薬物のこと、暴力のこと、HIV/AIDSのこと、自尊心のこと、支え合うこと」
といった標語が あるのも、この国らしいです
お昼ご飯は、こうした物売りから買う生徒が多いようです。
残念ながらお菓子でお腹を満たす子も少なくありません。
物売りも近所の人なので、「ミヤ、今日はどうしたの?」と私にも気さくに話しかけてきます。


 とくに、障害学生受け入れに熱心、というわけではないのですが、写真のように階段だったところをセメントで埋めて、スロープにしたりしています。ントンバナも特に手助けなしに打合せ場所に行くことができました。

ほとんど平屋なので、バリアフリー化自体はそんなに難しくありません

教室のドアに鉄格子のドアも付いているのが分かりますか?
これも、この国の当たり前の光景です
打合せ自体は、何をしたいかを改めて学校側に伝えた上で、学校側からの返事待ちになりました。とても前向きだったのでントンバナも嬉しそうでした。

 プロジェクトを始めた頃と違って、みんな、地域の人とか他分野の人に自分を説明するのが上手になったと思います。今では、こうした地域活動も得意分野ですね。

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